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陽だまりの仮面 -嘘-

第6章 本腰?

不意に花木君の声が鼓膜を伝い、少しだけビクッと肩が跳ねる。


顔を見てないせいか、何なのか。


今、聴こえてくる花木君の声が心無しか優しく聴こえるのはあたしの気のせいなのか


ただ、そう思いたいだけなのか。



「琉愛がいう、“恋人ごっこに本気になれ”って言った意味

こういう事なんでしょ?」



再度、同じ質問が飛んで来て。



――――本当は。



こういう、ギュッてして貰うとかそんな事じゃなくて。


“牧村さん”から“琉愛”に変えるとかそんな事じゃなくて。



ただ、読書もいいんだけど。

本を読んでる花木君は嫌いじゃなくて、寧ろ好き。

だから、読書しててもいいんだけど。



ほんの少しだけ。



あたしの方を見て欲しかった。

あたしと少しだけ、話して欲しかった。


あたしが花木君の隣りに座るのが“彼女”として当たり前なのだと言うのなら

“彼氏”として、ほんの少しだけ構って欲しかった



そう思ったから。


だから、花木君に遠回しに“提案”をした。




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