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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

「………。」


「………。」



お互い、何も会話を交わす事もないまま

っというか、花木君は寝ちゃってるのかもだけれど。

花木君はずっとあたしの肩に頭を乗せたまま、少し寄り掛かり気味。

それに伴って、あたしの右側半身は、相変わらずずっと熱を帯びたまま。

左側半身は北風で冷たくて。

……自分の身体なのに、右と左で持つ熱が違うなんて事

人生初だ。



ドキドキしつつも、この今の空気感をあたしなりに愉しんでたけど

山間を朱に染めてた空に徐々に藍色が混ざり始め

1番星だけが見えてた空も、ちらほらと小さく薄い輝きの星達が顔を出し始めた。


どう…しよう…。

そろそろ起こした方が……?



そう思って、空からまた花木君へと視線を戻す。


風に少し吹かれたのか、サラサラの前髪が全て眼鏡に掛かってて

優しく吹く風で少し靡く前髪が何だか見てて邪魔で。

だけど、凄くサラサラの前髪を見てると



「………。」



凄く凄く触れたくなって。



これも、突発的行動。



そっと、花木君の前髪を左手の人差し指の先で掻き上げるように触れた。





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