
陽だまりの仮面 -嘘-
第8章 夕陽と泪味 ②
「君、花木君より冴えないしつまんないじゃん」
花木君の事を“つまんないヤツ”と嘲笑うように言って退けた目の前のバカ男に向かって
フッと軽く嘲笑ってみせると
「は?
それ、マジで言ってんの?」
クソ橘はバカだから癪に障ったんだろう。
眉間に皺を寄せながらあたしの腕をギリッと握る。
今まで。
こいつのピ――ッを蹴り上げるのも我慢した。
両手を拘束されたって
口を塞がれたって
無駄に暴れる事なく我慢した。
変に逆にこいつに騒がれるのが嫌だったから。
変にくっだならない噂を流されて迷惑するのが嫌だったから。
せっかく近付けた花木君との距離は離れてしまうのが嫌だったから。
だけど。
そんな事、今はどうでもいい。
そんな事、今はもう気にしない。
「手、離してよ」
掴まれた手を振り翳そうと力を入れてみるけれど、意外にもバカ男の力は強くて
あたしの腕はほんの少し揺れただけ。
嗚呼……本気で苛々する。
「なぁ、俺があの眼鏡より冴えないってマジで言ってんの?」
「じゃぁ、逆に聞くけど
自分の方が勝ってるって思ってるの?
君。」
「だとしたら……勘違いも凄まじいね?」
「お前、さっきから……カチャッ――」
―――――えっ…
ガラッ―
「いけませんね?」
花木君の事を“つまんないヤツ”と嘲笑うように言って退けた目の前のバカ男に向かって
フッと軽く嘲笑ってみせると
「は?
それ、マジで言ってんの?」
クソ橘はバカだから癪に障ったんだろう。
眉間に皺を寄せながらあたしの腕をギリッと握る。
今まで。
こいつのピ――ッを蹴り上げるのも我慢した。
両手を拘束されたって
口を塞がれたって
無駄に暴れる事なく我慢した。
変に逆にこいつに騒がれるのが嫌だったから。
変にくっだならない噂を流されて迷惑するのが嫌だったから。
せっかく近付けた花木君との距離は離れてしまうのが嫌だったから。
だけど。
そんな事、今はどうでもいい。
そんな事、今はもう気にしない。
「手、離してよ」
掴まれた手を振り翳そうと力を入れてみるけれど、意外にもバカ男の力は強くて
あたしの腕はほんの少し揺れただけ。
嗚呼……本気で苛々する。
「なぁ、俺があの眼鏡より冴えないってマジで言ってんの?」
「じゃぁ、逆に聞くけど
自分の方が勝ってるって思ってるの?
君。」
「だとしたら……勘違いも凄まじいね?」
「お前、さっきから……カチャッ――」
―――――えっ…
ガラッ―
「いけませんね?」
