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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

図書室のドアが開いた音と共に、鼓膜に伝う



「………おまっ…!」



「何、してるんですか?」




花木君の声。


そして、


橘越しに見える、いつもの無表情の花木君の顔。


橘は、まさか、鍵を開けて花木君が入ってくるなんて思ってなかったんだろう。



「お前っ!!何で鍵…っっ!!」



驚愕した声で花木君に声を荒げる。



「何でって、」



図書室入口に立ってる花木君は、ゆっくり言葉を吐き出しながら



「そんなの、決まってるじゃないですか」



1歩、また1歩とあたしと橘の傍へと近付き




「僕も“図書委員”だからですよ」




――――――え?!


と、図書委員?!




「だから、鍵持ってますよね。」



ニヤリとも、クスリとも一切笑わず無表情のまま橘に鍵を翳して見せる花木君。


その鍵と、鍵を持ってる理由を知った橘は何も言わず、ただあたしの腕を握ったまま

花木君を睨みつける。




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