テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

そんなあたしに気付いたのか、花木君はあたしを抱き寄せる力をふっと弱め……


…たと思ったら、あたしの腕をそっと優しく掴んで


「腕、痛くないですか?」


眼鏡越しに上目であたしを見る視線に、ドキッと胸が高鳴る。



「う、うん…大丈夫!!」


「でも、赤くなってますね」



えっと……

赤くなってるのは橘のせいじゃなくて…

花木君が掴んでるからだと思うんだけど……

“赤く”じゃんなくて“紅く”だと思うんだけど…



なんて思いながら花木君を見てると

花木君は一瞬、チラリとあたしを見て、フッと軽く微笑して



「消毒」


「~~~~~ッ!?!?」




そっと……



橘が掴んでた箇所に優しく“消毒”という名の




キスを落した。






ストーリーメニュー

TOPTOPへ