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陽だまりの仮面 -嘘-

第8章 夕陽と泪味 ②

チラッと、繋いでる手から花木君の背中へ視線を流す。


花木君は……。


いつか、“ごっこ”じゃなくて、“役”じゃなくて

あたしを“彼女”として、あたしの右手を握ってくれる時が来るんだろうか…。

今は花木君は彼女は居ないけれど、もし、彼女が出来たら?


……あたしとの“ごっこ”は当然、解消。


そうしたら、花木君のこの温もりは誰か別の人が感じちゃうの…?

時折見せてくれる優しい微笑も、誰か別の人に向けられちゃうの…?

優しい声色も。

暖かい背中も。

暖かい胸の中も。





全部……他の人に………?









――そんなの…嫌だ…。








思わず。


花木君の手を握る手に、力が籠もる。





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