テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第14章 流れる心

砂羽の後ろをついて階段を降りながら、



……ショボくなんてないし。




ボソリと呟く、あたしの心。



確かに、花木君はヤボッたい黒縁眼鏡だし。

ずっと本しか見てないし。

本が友達みたいな人だし。

ふっつーの男子だし。


だけど…




“あんたに靡かない男”




そうよ。

あたしに簡単に

“好きだ”
“可愛い”

バカの1つ覚えみたいに口にするアホ男じゃなかったから

あたしに興味がなかったから



だから、あたしは花木君に惚れたんだ。




………そうよ。




原点を思い出せば簡単だったじゃん。

原点を思い出せば、簡単に答えなんて出てたじゃん。


昔っから分かってたじゃん。




彼は、あたしに一切“興味がなかった”



昔っから、あたしなんて眼中に入ってなかった。




「……すっかり忘れてたや」





ヘへっ…と自虐的に出る笑みと共に零れる言葉は



「琉愛ぁ!早く!置いて帰るよ~」



「あ、待って!!」




放課後賑わう生徒の声にスッと掻き消され

誰の耳に届く事もなかった。









ストーリーメニュー

TOPTOPへ