テキストサイズ

陽だまりの仮面 -嘘-

第15章 流れる心 2

“演技”



まさかのこのキーワードに動転してしまい



「なっ…!!」



何か言い返そうと言葉を発する努力はするけれど、こういう時こそ言葉が出て来ず




「ほ~~ら、図星だ?」



当てた事の誇らしさからなのか

あたしの口を黙らせた事の満足感なのか。

テンパり動揺し、苛々してるあたしとは全く真逆の

胸の前で両腕を組み、少しだけ首を右に傾げ、口角を上げて得意気な表情の、橘。





「なんで演技なんてしてんの?」




不思議そうに首を傾げたまま問う橘に




「……言ってる意味が分からないんだけど。」




「は?意味って?」




「演技って何の事?図星って何?

ぜんっぜん意味が分からないんだけど。橘“君”」




あたしの態度が演技だってバレるワケにはいかない。

特に、こんなヤツに絶対バレたくない。

そもそも、何でって問われたってこいつにあたしが

“良い子の琉愛”“勉強できる琉愛”を演じてる理由なんて分かるわけがない。




―――分かって貰う気も、無い。





ストーリーメニュー

TOPTOPへ