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陽だまりの仮面 -嘘-

第3章 美女とメガネ

あたしを他の人達と同じように“いい人”だと思ってるわけで

“いい人”で“優しい”から断れない人

だと思ってるわけで

だからこそ、今回“ごっこ”を提案してくれたわけで


それって、所謂、あたしの嫌いな


“表面上しか見てないクソ野郎”


な奴等と変わらないわけで……。



―――――でも…



あたしが演じていなかったら、今日のような夢の時間は訪れてくれなかったわけで

あたしが演じていなかったら、花木君と“恋人ごっこ”出来なかったわけで。


ふと我に返り、複雑な心境に陥る。



でも…でも…



【でも】の葛藤が頭の中をぐるぐるぐるぐる駆け巡る。





―――――いいじゃん、別に。





理由がどうであれ、ずっと接する事が出来なかった花木君と話せるようになったんじゃん。


……そうよ。


何にせよ、少し近付けたには変わりはないんだし。

そもそも、素のあたしじゃ花木君に“ごっこ”すら出来るわけないんだから。



“琉愛ちゃんは顔だけで中身はブス!
だからみんな流愛ちゃんと絶交するんだ!”



素のあたしなんて、誰にも好かれないんだから…――――







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