君に恋した冬
第6章 高校生編スタート
アキラは根掘り葉掘り聞いてくるタイプではない。
だからこそ由梨は必要以上にぽろぽろと
普段人に言わないようなことを
アキラには何でも話してしまっていた。
そんな由梨をアキラは黙って受け止めていた。
『面接、緊張するなあ~』
少しウキウキする気持ちを抑えて
買ってきたミネラルウォーターを口に運ぶ
「ま、受かるんじゃね?
おまえ最近顔マシになってきたし」
『それどーゆー意味?』
ムッとしてアキラを睨む
「そのまんまの意味」
クッと喉を鳴らして笑いながら
アキラは浴室へと消えていった
高校に入った由梨は、少しだけ
メイクをするようになっていた
『気付いて…くれてたんだ…』
なんだかむず痒いような気分に
由梨はソワソワしながらアキラを待った
アキラは何も言わない
でも、たまにこうして誉めてくれる
ちゃんと見てくれてるって伝わる瞬間
由梨の中に言い知れぬ喜びが全身に広がるのだった