君に恋した冬
第6章 高校生編スタート
案の定アキラは本当に遅刻スレスレで
「由梨、これ」
そう言って慌ただしく鍵を渡してきた
『え…?』
急に渡された鍵に、由梨はびっくりして
目をパチパチさせる
「前から渡そうと思ってた。
お前がいつでも来れるように。
俺先行くから適当に帰ってて。
居るなら居てもいいし。」
突然のことに驚きながらも
『わ、わかった…』
そう答えるとふわっと笑ってアキラはバイトに出掛けた
手の中の鍵を見つめて
なんだかまた良く解らない感情に由梨は頭を悩ませる
嬉しい…?
わかんない。
鍵を貰うことの意味が良く解らないのは
アキラの気持ちが見えないから
自分の気持ちも見えないから
そんな事には気付かず
ただなんとなく受け取った鍵を
ぼーっと見つめる由梨だった。