君に恋した冬
第6章 高校生編スタート
「久しぶり。家隣なのに全然会わないから」
『…そうだね』
忘れかけていた大智への思いに
また火を灯してしまいそうな自分が嫌で
早々にその場を立ち去ろうとする
『あ…私、急ぐから』
逃げるように振り返り、早足で歩き出すと
「俺も帰り道一緒なんだし、送るよ」
なんと大智は追いかけてくるのだ。
前までの由梨には願ったり叶ったりだっただろう。
でも、今の由梨は少なくとも
大智に合わす顔がない
自分はもう大智を好きではない
そう思いこんでいる手前、出来ればこのまま
そっとしておいて欲しかったのだ。
『いいよ、1人で帰れるから…』
「どーせ一緒なんだし、別にいいじゃん」
少し不機嫌そうに言われ、由梨は俯く。
『は…花井さんが、怒るんじゃない?』
勇気を出して尋ねてみると
「あぁ。あいつとはもう終わった」
あっさりとそう言われ、由梨の心は押しつぶされる
終わった…?
「別に好きで付き合ったわけじゃねーし、
高校入る前に別れた」
尚も続けられる言葉に由梨は言葉を失う
好きで付き合った訳じゃない…?