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君に恋した冬

第7章 大事なもの





「わからなくていい。

でも俺は、お前を離す気はない。」



すごく真剣な表情で言われ
先程の携帯がまた脳裏をよぎり
耐えきれずに叫んでいた



『どうしてよ!
彼女がいるくせに!!
私なんか必要ないじゃない!!』



泣きながら叫ぶ由梨をアキラは
意味がわからないという顔で見た



「は?お前何言っ…」


『サキっていう人がいるんでしょ!?
ならもう私はいらないじゃない!!
それに、私がどうしようと私の勝手でしょ!?』



あ、なるほどなとアキラは納得したような顔をして



「携帯見たんだ?」



ズキズキ痛む心…


さっき、携帯を見てからずっと
心がズキズキして苦しい



『中までは、見てない…』



「はぁ…」



溜め息をつくアキラに



『もう、いいでしょ…』



そう言って離れようとすると



「よくねぇよ」



少し怒気を含んだ言い方で言われ
思わず怯んでしまう



勝手に見たこと、やっぱりまずかったかな…


そう思っていると、アキラはキッチンに
置いたままの携帯を取りに行った



「お前が見たの、これ?」



着信履歴の画面には先程の


【saki】


という文字があった




『そう…だけど』







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