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君に恋した冬

第7章 大事なもの




ひとしきり泣き終えてぐちゃぐちゃだった心が、
心なしか少し軽く感じられた


そのままシャワーを借りて
久しぶりにアキラと一夜を過ごすことに
すごくドキドキしている自分が不思議だった


久しぶり…だからだよね?



自分に問いかけるがもちろん返事はない。



多分そうだよ。



自問自答して浴室をあとにした



リビングにはアキラがビール片手に
煙草を吸いながら窓の外を眺めていた



本当…画になるなあ…



しばらく感心していると、アキラがこちらに気付く



「来いよ」



妖しく笑う彼に、まるで吸い寄せられるように
由梨は隣に座った


ドキドキドキドキ…



心臓がやけにうるさい。



アキラは窓際にあるロッキングチェアーに腰掛け
由梨はその隣の地べたに座っている


ふわっと頭を持たれ、アキラの膝に
由梨の頭がくっつく


よしよしされているような、
あやされているその撫でかたに
心臓はさっきから鳴りっぱなしで
顔も熱くて仕方なかった



しばらく沈黙が続く



あぁ…久しぶりだな…この感じ

本当に落ち着く…



「由梨」


ドキンッ…


『な…に?』








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