君に恋した冬
第8章 乱れる関係
『い…痛いよ、やめて大智くんっ』
怯えながら目に涙を浮かべ、必死に懇願する
「頼むから…いい加減俺の事だけ見てくれよ…」
力なく言って大智は手を離す
強く引っかかれたそこは少し血が滲み、ぷくっと腫れていた
由梨は思わず後ずさり距離をとりながら
大智の言葉をよくよく考える
いい加減…?俺のことだけ…?
どういうこと?何言ってるの?
ヒリヒリ痛む首を押さえながら
『どういうこと?』
「お前がいつまでも俺の方見ないから…」
『…?』
私はずっと大智くんだけを見てた
大智くんも私の気持ちを知ってた
なのに何を言ってるの?
『言ってる意味が…』
「由梨。頼むから、俺の側にいて。
俺のこと好きだったって言ったじゃん」
『そうだけど…でも』
私は汚れてしまったから…
その言葉だけが胸につかえて言えない