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君に恋した冬

第9章 豹変する彼




大智くんに連絡しないと…


何年ぶりかもわからないぐらい久しぶりに
大智へメールを送る。


【終わりました。】


飾り気の全くない文章がどこか由梨らしいが、
今は絵文字や顔文字などをつける気分には到底なれなかった


するとすぐに返信が来る。


【もう店の前で待ってる】


もう待ってるんだ…


どこか他人事のように考えていると
歩美が心配そうに声をかけてくる


「ねぇ由梨。ずっと話したかったけどなかなかタイミングなくて…

その頬、本当に転んでぶつけたの…?」


探るような瞳で見つめられ思わずゴクリと唾を飲む


言えない…
私が悪いんだし…


『本当だよ。鈍くさすぎて自分が嫌になるよ』


嘘だとバレない様に極力笑顔で答える


『心配してくれて、ありがとう』


「…そっか。由梨がそう言うならもう何も言わない。
今度からは気をつけなよ」


『うん、ありがとう』


もう一度お礼をする。

友達を騙すという事に心がズキズキ痛む。


歩美…ごめんね…


多分歩美は由梨の嘘を見抜いているが
由梨が言いづらいことだと判断して
その嘘を受け入れてくれた


由梨も歩美の心境を理解し、余計に心が沈むのだった。



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