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君に恋した冬

第9章 豹変する彼




更衣室を出ると、浅井も出て来た所だったらしく
成り行きでそのまま3人で店を出る。


「あ、由梨!」


すぐに大智が笑顔でこちらに手を振り駆け寄って来る


由梨の表情が自然に強ばる事に、由梨は気付かない。


「え!?ちょっと由梨!彼氏!?」


歩美が目をキラキラさせて尋ねてくる


『…うん、そう。』


「やだ!いつのまに!?しかも超イケメンじゃん!」


大智がすぐ近くまで来て、歩美と浅井に挨拶する


「お疲れ様です!由梨がお世話になってます」

「え!?そんな!お世話になってるのは私達だよー」


大智と歩美が楽しそうに会話する中
由梨の表情は無意識にどんどん暗くなっていく


「…」


そんな由梨を浅井は遠くから見つめていた



「由梨!こんなかっこいい彼氏いたなら
紹介してくれたら良かったのにー!」


歩美が嬉しそうに言ってくる


『…付き合ったの最近で…まだ言うのは早いかなって思って…』


また思わず嘘をつく。

元々断るつもりだったのだ。
紹介しようなどという考えは到底思い浮かばない。


「もー水くさいんだからー!
あ、彼氏さん良かったら今度店に遊びに来て下さいよ!」

『…!?』


バイト先にまで来られたら…


「えーでも由梨、嫌じゃない?」


大智が由梨に問い掛ける。
笑ってはいるものの、またしても感情が読めない


『そんなことないよ』


嫌とはとても言える状況じゃなかった




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