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君に恋した冬

第9章 豹変する彼




『大智…くん…どうして…』



あまりの衝撃に涙も止まってしまい
それと交代に身体が震え出す


どうしよう…何て言おう…
うまく誤魔化さなきゃ…



「今俺が訊いてんだろ。どこ行く気だった?」


大智の目は完全に据わっていて
またあの恐怖が鮮明に思い出される


『ちょっと、コンビニにでも行こうと思って…』


「財布も持ってねーのに?」


急いで家を出ようとしていたので
携帯しか持っていなかった事に今気づき
激しい後悔の念に駆られる



『えっと…散歩がてらにと思ったから…』


焦りからしどろもどろな喋り方になる

すると大智が一歩、また一歩と近付いてくる

由梨も同じ様に後ずさるが
ドンッと肩を押され、勢い良く玄関に尻餅をつく


「言い訳してんじゃねぇよ」



パタンとドアが閉まり
ガチャ…と鍵の閉まる音が響く


怖い…また殴られる…嫌…
アキラ…助けて…


「俺に隠し事するなって言ったよなあ?」


『大智くん…やめて…お願い…』


「うるせぇ!!!」


『あぁ!』


髪を強く引っ張り上げられ
そのまま地面に投げ飛ばされ
すかさず背中に蹴りを入れられ息が止まる


『かっ…はっ…!』


息が…できない…!
誰か助けて…!!


「何回言ったらわかるんだよ!
裏切んなって言っただろ!!」


ドンッガッ ドンッ ドンッ


『ぅ…っ…やめ…っ』


何かが食道からせり上がってくる感覚に堪えきれず
そのままもどしてしまう


『おぇ…かはっ…ゲホッゲホッ』


「汚ぇなあ!吐いてんじゃねーよ!」


ドンッドンッ


お腹や背中、脚、腕
顔以外の場所を何十回と殴る蹴るを繰り返される


『お願…うっ…やめ…て…』


不意に握っていた手から着信音が鳴り響き
大智の手が止まる


アキラ…!助けて…!



電話に出ようとすると頭を強く殴られ
衝撃で携帯を落としてしまう


「誰が出ていいって言った」



そのまま大智は由梨の携帯に目を落とし


「アキラ…?」




あぁ終わった…






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