君に恋した冬
第10章 一筋の光
『浅井くん…帰ってなかったんだ…』
出会った当初の嫌悪感は無くなっており
普通に話していた
多分、浅井が由梨を無視することを辞めたのが
いいキッカケになったからだろう。
「…なぁ。訊いてもいい?」
目は合わせないで問われる
『…?何ですか?』
「さっきの話、マジ?」
『!?』
「ごめん、ドアちょっとだけ開いてて
声聞こえてたから…」
『そっか…』
聞こえてたなら、もう隠す必要ないよね…
『本当だよ。ちょっとだけ誤魔化してるけど』
「相手は、この前のあいつ?」
浅井と大智は一度顔を合わしていた
その時の由梨の表情から
浅井はなんとなく気付いてはいた
『なんか…もういいや!』
「なにが?」
『誰かに言ったらすっきりした!
なんか元気が出て来た!』
ガッツポーズを作ってニッコリ笑う
「…あんた、嘘下手だね」