君に恋した冬
第11章 裏切り
『え…帰ったんじゃなかったの?』
「送ってやれって、店長に言われた」
『そう…みんなに迷惑かけちゃったね…ごめんなさい』
バイト先に連絡しようにも携帯がない
帰りに寄ろうかなどと考え黙り込む
「朝っぱらからじめじめすんなよ」
おでこをパチンと弾かれる
『いたぁ~』
恨めしげに、弾かれたおでこを押さえながら浅井を睨む
「お、いい顔。おもしれー」
浅井はまたふわっと笑った
ドキンッ…
あぁ、また心臓が…
熱が下がってもなおドキドキする心臓に
由梨は少し困惑する
『それより、どこ行ってたの?』
「下の売店。昨日の夜から何も食ってねーから腹減った」
『あ…』
それって、私のせいだよね…
『ごめんなさい…迷惑かけて…』
「だからじめじめすんなって。
あとでちゃんと家まで送るよ」
『ありがとう…』
浅井の優しさが心に滲む
そのあとすぐに由梨の朝食も届き
2人で食事を終え、お昼に退院手続きをとった