君に恋した冬
第11章 裏切り
さっきから誰も口を開くことはなく
しんと静まり返っている
由梨はまだ頭が上手く回らない
大智は俯いて顔を上げない
加奈子はどこか怒った様子で窓の外を見ている
浅井は手持ち無沙汰で、残った事を後悔し始めていた
どれくらい経っただろうか
おもむろに加奈子が口を開いた
「何も訊かないのね」
それは由梨に対して言い放った冷たい声音
「何とか言ったらどう?」
そんな加奈子の態度に由梨は更に混乱する
『あの…何がどうなっているのか…』
由梨のしどろもどろな態度に加奈子は
苛立ちを隠すことなく由梨にぶつける
「そうやって善人面して。あんたはいつもそう。」
『加奈子ちゃん…?』
言っている意味がよく解らない…
「大智くんのこともそう!本当は気付いていたんじゃないの!?」
気付いていた…?
「まだそうやってしらを切るつもり?」
『…?』
「私もずっと大智くんが好きだったのよ」
『っ!!』
加奈子のまさかの告白に由梨は言葉を失う