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君に恋した冬

第12章 そしてまた一つ





しばらくして、そっと身体が離される


アキラはじっと由梨を見つめ
由梨もその視線から逃れることが出来ずに
短い時間お互いを見つめ合い
そのまま唇を重ねた


『ん…』



触れるだけの優しいキスをして
アキラはまたぎゅっと由梨を抱き締めた



お互い何も言わない、だがそこには
甘い痺れるような空気と静寂が辺りを包んでいた



アキラ…あなたの気持ちが知りたい…

どうしてそんなに優しいキスをするの?


でも…この関係を壊したくない…



自分の気持ちを知られてしまったら
こうしてアキラの側に居ることが出来なくなるのではという恐怖から
アキラに自分の気持ちを言えないで居る由梨は
少し心が痛んだ



本当は、身体だけなんて…寂しい…


ちゃんと言葉が欲しい…




好きだと自覚してからは
はっきりとしたものが欲しくなってしまう

そんな自分を抑え込み、そっとアキラに寄り添う



欲張っちゃだめ…




このまま、こうしていられるだけで充分だと自分に言い聞かせ
そのままアキラの腕の中で深い眠りに誘われる



落ち着く…



そのまま瞼を閉じた




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