君に恋した冬
第12章 そしてまた一つ
由梨は結局次の日のお昼前に目を覚ました
ふと目を開けるとアキラがじっとこっちを見ていた
『ーー!!』
思わずビックリして顔を手で覆う
「おはよ。由梨、すげー気持ち良さそうに寝てた」
そう言って何かを思い出すようにアキラは笑う
『私…何か変なことしてた…?』
顔を真っ赤にさせながら上目遣いでアキラを窺い見る
「ん…?いや、別に」
そう言いながらもクックと喉を鳴らしてアキラは笑う
絶対何かしたんだーーっ!!
何?いびき?寝言?やだ、もう恥ずかしい…
また手で顔を覆うと
アキラはそっとその手を外して
そのまま顔を近付けチュッと音を立ててキスをする
「ほら、飯食おうぜ。先風呂入れよ」
少し意地悪く笑いながら由梨に手を差し出すアキラの顔は
お昼の日差しを受けてキラキラと輝いて見えた
私…重症かも…
差し出されたその手を取り、由梨はお風呂へ向かった
アキラの家の浴室は、壁一面に細長く鏡が貼られている
そこには否応無しに移るボロボロの自分の姿があった
鏡で見ると、自分で見えていたものとはまた違って見え
お腹と背中には赤紫色の痣が一面に広がっていた
…ん?
そこで、それとはまた違う痣を見つける
何…だろ、これ…
そっと手で触れてみるが膨らんでいたりはしていなかった
ちょうど肩甲骨の間ぐらいに
三日月の様な形をした赤茶色の痣があった
…?
不思議に思いながらも特に気にせず
そのまま顔や頭、身体を洗って浴室を後にした