君に恋した冬
第13章 少しずつ
そんな由梨をアキラは横目でチラッと見ながら
「そんな不安そうな顔すんな。大丈夫だから。」
『あ…ごめん』
やだ、顔に出てたなんて…
心なしかアキラは少し悲しそうな顔をしているように見え
少し疑った自分を激しく責める
バカ…こんな顔させたい訳じゃないのに…
信じてるのに…
無意識に手を膝の上でギュッと握り歯を食いしばる
するとアキラがボソッと呟いた
「そんな顔させるために、こんな遠くまで来てる訳じゃねえよ。だからそんな顔すんな」
握りしめた由梨の手にアキラの手がそっと重なる
アキラ…同じ事思ったなんて…
アキラに触れられている手が熱い
この人が大事
ずっと側にいたい
もう、疑ったりしない…
そう強く心に決めた由梨だった