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君に恋した冬

第13章 少しずつ




手持ち無沙汰になり何気なく辺りを物色し始める


部屋の真ん中には風情漂う囲炉裏があった

窓際には気持ちばかりのシンク
反対側の窓際にはいくつか箪笥が置いてあり
ふと箪笥の上に置かれた物に目がいった


あれは…写真?


そっと近付いてその写真立てを手に取る
さっと積もった埃を払いその写真をじっと見つめた


そこには二組の夫婦らしき大人が寄り添っていて
その前には3人の子供がいた

小さな女の子が1人と、その女の子より少し大きめの男の子、そして一番大きな男の子の3人


この小屋の持ち主の方たちかな…?


そう思った瞬間鋭い痛みが頭を襲う


『いっ…!!』


思わず写真を手から滑らせ
その場に手をついて必死に頭痛を堪える


ズキンズキンズキンズキン


痛い…何…急に…!


その様子に気付いたアキラが慌ててこちらへ駆け寄ってくる


「由梨!どうした!」


『あ…たまが…割れそう…』


ズキズキ痛む頭を手で押さえ
心なしか冷や汗をかきはじめる


「大丈夫か?ちょっと無理させすぎたな…」


違う、大丈夫と言いたいが
頭に走る激痛でうまく喋れない



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