君に恋した冬
第13章 少しずつ
それからアキラの家に着く頃には
頭の痛みもほとんど消えて普通になっていた
何だったの?さっきまでの頭痛…
あれからアキラは一言も喋らない
いつものことだが、どこか違った空気に
由梨は少し不安になる
『もう、かなり良くなったみたい。ほとんど痛みも無くなったよ』
一応無事を伝えると、そうかと一言素っ気ない返事が返ってきただけだった
アキラ…?
由梨はアキラの事を何も知らない。
それ故に少しでも冷たくされるとすぐに不安になってしまう
だが、アキラも由梨に何も訊かない。
だから由梨は何も訊けなかった。
気を悪くするのではという考えが邪魔をして。
そして2人が無事に家に着いたのは
深夜12時を少し回った時間だった
「風呂入ってこいよ。疲れただろ」
『それはアキラだよ。先に入っておいでよ』
短いやりとりを済ませ、アキラは浴室へと消えていった
あれからアキラの感情が読めない
怒っている訳でもなさそう
元気は少し無いけど、体調が悪い訳ではなさそう
悲しそうだったりもしない
どうしたんだろう…
モヤモヤと心が晴れないまま
アキラの後に由梨もお風呂をいただいた。