君に恋した冬
第13章 少しずつ
お風呂から上がると、アキラはやはり
ロッキングチェアに腰掛け煙草をふかしていた
いつも由梨を待つ間、彼はそこに座る
ソファーがあるのにロッキングチェアに座る彼
そんなアキラを今までは特別気にしたりはしなかったが
今日はなんとなく気になった
『そこ…好きなの?』
由梨の声に視線だけをこちらによこして
「別に…」
とだけ言ってまた視線を窓の外に戻す
なんとなく気まずい空気が由梨を締め付ける
とりあえず、あまり近寄らない方がいいかと思い
ソファーに腰掛けた由梨に声がかかる
「遠い。こっち来て」
『…いいの?』
返事はしないが、自らの膝とトントンと人差し指で弾いて肯定の合図を送る
それが由梨には嬉しくて、隣に寄り添い
頭をアキラの膝に預ける
くしゃりとアキラの大きな手で頭を撫でられる
しばらくそのまま無言でアキラの手の感触を感じていた
アキラは窓の外に目を向けたまま
愛おしそうに由梨を撫でる手を止めない
もしかして…子供扱いされてる?
そう言えばアキラは21歳…
私はもうすぐ16歳…
5歳も年下の私は、アキラにとっては
ただの子供と一緒なのかな…
「由梨…」
その声にハッとしてそれ以上考えるのを辞める