君に恋した冬
第15章 交差する思い
パンパンパーーーン!!
「「ハッピーバースデー!!」」
『…!』
ドアを開けた瞬間、皆が玄関でクラッカーを鳴らし、お祝いの言葉とともに歓迎してくれている
驚きのあまり口をあんぐりと開け立ち尽くしてしまった由梨にみんな一斉に笑い出す
「由梨っほら、こっち!主役がいないと始まんないよっ」
歩美にグイグイと腕を引かれ、バイト仲間の皆が後ろから付いて来る
その中には恭介の姿もあった
連れて行かれた部屋に入ると、部屋中可愛らしく折り紙等でデコレーションされており
テーブルの上には数え切れない程のお菓子
そして壁一面に
【HAPPYBIRTHDAY!!ゆりちゃん】
と書かれた横断幕
「皆で由梨が来るまでに頑張って用意したんだよ!」
キラキラと目を輝かせて歩美は由梨の腕をギュッと抱き締める
嘘…こんな…
そして由梨は今日2回目の嬉し泣きをする
初めてはアキラからのサプライズ
2回目は友達からのサプライズ
夏のあの事件とは真逆で、人の温かさを凄く感じられた
『うぅ…あり、がとっ…』
嗚咽を堪えながらボロボロと涙が零れ落ちるのを必死で拭う
「やだ、泣かないでよー!」
皆が泣きじゃくる由梨の頭をよしよし撫でながら席へと促す
「よーし、このぐちゃぐちゃ顔の由梨を激写しちゃお!」
『うぅー、やめてよー』
皆が由梨を囲んで並ぶ
はいはい撮りますよーと歩美のお母さんがシャッターをきってくれた
『私、今日のこと、一生忘れないっ』
泣き笑いをしながらとびっきりの笑顔で皆にそう言った
その様子を、恭介は陰から微笑ましく眺めていた