君に恋した冬
第15章 交差する思い
程なくしてパーティーはお開きになり
歩美と歩美のお母さんに皆でお礼をしてから
歩美の家を後にした
「由梨ちゃんのこと、浅井君送ってあげてね。」
沙也加が恭介にそう促し、皆と別れた
帰り際、歩美がブレスレットについて触れてきて
彼氏かと聞かれて思わず違うと答えたが
誰も信じていない様子だった
暗い夜道を恭介と肩を並べて歩くのは少し変な感じがした
『それにしても、恭介の小人役…面白すぎたよ』
「…」
思い出し笑いをしながらご機嫌に話す由梨とは対照に、恭介はどこか機嫌が悪そうに押し黙っている
そんな恭介に気付いて由梨は上目遣いで顔を窺い見る
『ねぇ、どうしたの?』
「…あんたさ」
ボソッと話し出すと同時に恭介が足を止める
それに釣られて由梨も恭介に向き直る
『…?』
「彼氏、いんの?」
『なっ…!』
あまりに唐突な質問で思わずビックリしてしまう
そんな由梨を後目に恭介は続ける
「歩美がさっき言う前から気になってたんだよね。
腕のそれ。昨日まではそんなのしてなかったろ」
『あ…えーと…』
どうしてこうも私のバイト先には目の付け所が鋭い人ばかりがいるんだと由梨は焦る
『知り合いから、貰っただけで…彼氏とかではないの』
本当は彼氏なら嬉しいんだけど…
と心の中で続きを呟く
「そっか…」
『…うん』
恭介…本当にどうしたの?
しばらくの沈黙のあと恭介が真っ直ぐに由梨を見つめる
その顔は今までみた恭介の中でも
いちばん綺麗でかっこよかった
思わずドキッとしてしまった由梨は少し目を逸らすが
頬にそっと触れられ身体がビクッと跳ねる
『ぁ…』
吸い寄せられる様に恭介から目が離せない