君に恋した冬
第16章 衝突
それから日が過ぎるのはあっという間で約束の土曜日
アキラと待ち合わせをし、誕生日に一緒にいれなかったからと言って
由梨の好きなところに連れて行ってくれると言われたものの
どこに行きたいか思いつかずにアキラにお任せした。
移動中の車の中でどうして黒髪にしたのか訊ねると「就活だから」という答えが返ってきて納得した
黒髪のアキラをよく見ると
今までのチャラそうな怖い印象が全くなくて
逆に格好良さが引き立っていた
その日は楽しく過ごし、夜は甘いひとときを過ごし
やっぱり由梨は関係を失う怖さから自分の気持ちが言えず、ズルズルと身体の関係だけを続けてしまった
恭介も変わらず優しくて、それにも甘えてしまっていた
2人とも何も言わず、由梨も身動きがとれず
気がつくとあっという間に冬真っ只中で
もうすぐアキラに出会ったあの日
クリスマスイブが近付いていた
アキラの就活は大学が設ける講習会などで忙しく、
今までよりは会う回数が減っていたが
毎日のように電話をしていた
もうそろそろハッキリさせないといけない
それがいつも由梨の頭を占めるようになっていた