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君に恋した冬

第16章 衝突





由梨の前にしゃがんで、頭をくしゃっと撫でる



「そっか」



その顔はどこか悲しそうで、でもにっこり笑っていた


ズキズキと心が痛む


『ごめん…』



泣きそうになるのをグッと堪える



「ハッキリ言われるのは割とキツいけど…
でも、これで俺も前を見れるな。

さんきゅ」


ニコッと笑いながら由梨を真っ直ぐ見つめる


『──!!!』


どうして…そんなに優しいの…


恭介の一言に堪えていた涙がとうとうこぼれてしまう


「なんであんたが泣いてんだよ」


恭介は笑いながら涙を拭ってくれる


『だって…うぅっ…ごめんね…』


「そんなにごめんばっかり言われると
余計傷つくんですけど」


『ちがっ…そういう、意味じゃ、なくっ…て』


嗚咽で上手く喋れない


「わかってるよ。

その好きな奴と、うまくいくといいな」


くしゃくしゃっとまた頭を撫でられる


「俺はずっとあんたの側にいるから。
これからは友達として。

だから、何かあったらいつでも頼れよ」


『きょ…うぅー…ばか…』



友達…友達でいてくれるの…?

恭介は馬鹿よ。
自分ばっかり損な役回りで…

こんな私にそこまで優しくて…


この人を選べない私は、たぶんもっと馬鹿だ…




由梨が落ち着くまで、恭介は優しく微笑みながら隣にいてくれた



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