君に恋した冬
第16章 衝突
その後更にハッキリとした声音で
「俺は、由梨とは付き合えない」
アキラはそう言い放った
その目はひどく悲しそうで…由梨にはさっぱり意味がわからなくて、
段々と色んな感情が溢れだしてくる
『じゃあ…どうして今まで私を抱いたの…』
アキラは苦しそうに黙って由梨を抱き締めていた
そんなアキラに、由梨は更にまくし立てる様に続ける
『どうしてそんなに優しくするの!?
彼女がいるなら、私を捨てれば良かったじゃない』
アキラの胸をドンドンと叩きながら、大粒の涙を零して叫ぶ
「女はいねぇって前に言ったろ…」
アキラは困った様に囁く
由梨の叩く手を止めることなく受け止め続けた
『私の事が好きじゃないなら…
どうして抱いたりするの…』
どうして…わかんないよ…アキラ…
『離さないって…言ったじゃない…』
力なくアキラにうなだれる
『あれは…どういう意味だったの…』
ポタポタとこぼれた涙が床を濡らす
「……ごめん」
アキラはいつまでも由梨をしっかり抱きとめていた
どうして…どうして…
由梨の頭の中は、アキラの行動の意味がわからなくて、ショックと混乱が入り混じっていた
『ごめんじゃ…わかんないよ…』
その時、ガタッと物音がして2人ともハッと顔をあげる
そこには呆然と立つ男の人の姿があった
『きょう…すけ…?』