テキストサイズ

君に恋した冬

第17章 真実への階段



その日の夜、家に帰ってソファーに正座して
由梨は携帯とにらみ合っていた



合コンに行くと決めたから

これをきっかけに合い鍵を返そう

だけど勝手に押し掛けるのも失礼だ

前もって連絡しないといけない



電話をかける勇気がなかなか出てこなかった



もう少し早めに連絡していれば良かった…



時間を開ければ開けるほど勇気が必要で、
気の弱い由梨にはなかなかの試練だった



『何て言ったらいいのかな…』


えーい!もうヤケクソだ!



ガバッとソファーに置いた携帯を掴んで
電話帳からアキラを立ち上げる



震える指先で、そっとコールマークをタップした


Trr…Trr…Trr…


コール音がやけに大きく耳に響く


由梨の心臓は今にも飛び出してしまいそうなほど
バクバクと音を立てていた



そして、電話の向こうから
ずっと聴きたかった愛しい人の声が聴こえる



「…もしもし」



少しためらいがちな喋り方で
でも由梨の大好きなアキラの声で…


それだけでも身体は正直に反応して
胸がキュンとした








ストーリーメニュー

TOPTOPへ