君に恋した冬
第17章 真実への階段
「あ、まずは俺から。俺は歩美の彼氏の拓海です!
で、俺の横が…」
ズキズキと声が頭に響いて聞いていられなくて
由梨は目をギュッと瞑って額を押さえていた
「──で、一番端がアキラです!」
その言葉にピクッと反応する
でも、アキラなんて名前は世に沢山溢れている
ただの偶然だろうと思っていると
「よろしく」
その声は、聞き間違えもしない。
由梨の知っている、あのアキラの声で…
ゆっくりと重たい頭を上げて前を見ると
『…っ』
そこには紛れもなく、由梨の好きなアキラがこちらを見て座っていた
目が合ってガタッと椅子が揺れる程に動揺してしまう
どうしてアキラが…!
歩美の彼氏の友達だったの!?
思わず目を逸らして、また下を向く
頭の痛みは驚きのあまり吹き飛んでしまった
「じゃあこちらも自己紹介しますね!
私がたっくんの彼女の歩美です。
隣の子が…」
いずれは自分の番がまわってくる事に
心臓が激しく鳴り出す
アキラが居る…
今は会いたくなかった