君に恋した冬
第17章 真実への階段
「由梨、大丈夫?」
『あ…ごめんね。やっぱりちょっと苦手みたい…こういうの』
心配してそっと歩美が話しかけに来てくれて
由梨は今日この合コンで初めて口を開いた
「ううん。気にしないで。無理しなくていいからね?本当にしんどかったらお開きにしようね」
『ううん、大丈夫だから…ごめんね。気にしないで』
歩美の面子を立てるためにも、せめて一次会くらいは参加していないと駄目だということは解っていた
「本当に無理しないでね」
そう言って歩美は彼氏の隣に戻って行った
「あの、大丈夫ですか?」
歩美が去って空いた隣の席に一人の男が腰を下ろした
『え…と』
誰だろうか、この人は
顔に出ていたみたいで
「将吾だよ。君は、由梨ちゃんだよね?」
自己紹介くらい聞いておけば良かったかなと少し反省した
『はい、そうですけど…』
将吾と名乗った男は、顔は至って普通の
強いて言えば切れ長の一重の目が印象的なタイプだった。
アキラとは天と地の差があると
心のどこかで思ってしまった
「今日ずっと俯いてたから心配で…
顔色悪いよ?本当に平気?」