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君に恋した冬

第18章 想いにさよなら




たぶん恭介は泣いていた

こんな私の為に涙を流してくれた


私はこんなにも優しい人を傷つけてばかりだ…


自分が辛いからって、つい差しのべられたその手を取ってしまう

本当にずるい女だ…




その日も結局家まで送ってもらう始末


でも、久しぶりに人に触れて少し安らいだからか
その日はフられて以来初めてぐっすり眠れた



次の日もバイトに行けば、沙也香がアキラとデートしたとウキウキ話して来た


知り合いだと言えなくて、自分の好きな人だと言えなくて、黙って聞いているフリをした。


もうバイトを辞めようかと、最近本気で考え出していた。


そうすれば恭介とも会えなくなる


それで良いかもしれないと、
もうアキラに繋がるもの全てが辛かったから。

全部から逃げたかった。




『お疲れ様でした』



その日もなんとかバイトを終えて家路についた。


なんだか…目が眩む…



ろくに睡眠もとらず、食事も疎かなせいで
貧血気味なのかもしれない

目頭を押さえて、なんとか視界を正常に戻そうとする。



歩道橋に差し掛かり、手摺りにすがるように一歩一歩重たい足を引きずるように階段を登った


ぐるぐると目が回るようで気分が悪くなってくる



『はぁ…は…』


気持ち悪い…


下りの階段に差し掛かり、その気持ち悪さはピークを迎える


駄目だ…目が回る…歩けない…



登りより下りの階段は足元がフラついてしまう



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