君に恋した冬
第18章 想いにさよなら
あの後、恭介からバイト終わりに話がしたいと言われ
いつもの近くの公園に来ていた
恭介は未だ思い詰めた表情をしていて
由梨の心も締め付けられる
恭介…ごめんなさい…
しばらくの沈黙のあと、恭介が重たい口を開いた
「…俺の…せいか?」
そう言った恭介の顔はひどく歪んでいた
『ちがっ、違うよっ』
思わず叫んでいた。
恭介には感謝してる
ううん、むしろ感謝なんて言葉じゃ言い表せない…!
「あの日、俺があんな事言ったから…あんたは…」
──兄貴なんてやめとけよ──
胸がズキズキと痛い
『違う!違うの…本当に…』
由梨はそっと近づいて恭介の胸の辺りにそっと手を添えた
『私…あの日、恭介の胸の音を聴いてすごく安心したの』
恭介は黙って由梨の話に耳を傾けていた
『いつも辛いとき、側にいてくれて…
この音を聴くと、一人じゃないんだって思えた…』
溢れる涙を零れないように必死で堪えながら震える声で
『…今まで…本当にありがとう…』
そう告げて、今由梨に出来る精一杯の笑顔を見せた