君に恋した冬
第18章 想いにさよなら
子供の名前をつけた事に、益々母になった実感と
責任が沸いてくる
毎日毎日小さい我が子を見守るが、それしか出来ない自分が歯痒くもあった。
そして由梨は退院の日を迎えた。
「これからが頑張りどころですよ!新米ママ!」
『はい。色々とお世話になりました』
いつしか仲良くなった看護士達に見送られ
由梨は退院の手続きのため、正面入口の近くの窓口に向かった。
これを済ませたら早く未来に会いに行こう…
退院手続きをしたあと、直帰する気は無くて
早く我が子に会いたい気持ちで自然と足早になる
そんな時、ふと後ろから声をかけられた
「由梨…?」
ギクッとして振り向くと
そこには驚いた表情を浮かべた恭介が立っていた
『恭…介…』
「あんた、何してんの…。人の連絡散々無視しといて」
そう。妊娠中も、今までも何度も恭介からメールや電話がきていたが、ことごとく全て無視していた。
それがもう実質1年近く経っていた。
いちばん見られてはいけない相手に見られてしまった
「連絡くらい、返してくれても良かっただろ」
少し怒ったような、困ったような
そんな顔をして恭介は由梨に少しずつ近寄ってくる
どうしよう…何て言い訳すれば…
『あ…の、ごめんなさい…』