君に恋した冬
第19章 過去
恭介が開いた扉の先には
由梨がこの一年、会いたくて会いたくてたまらなかったアキラの姿と
それ以外に、二度と会いたくなかったあの無精髭とマッチョも居た
そして、金髪のギャルっぽい女が3人居て
室内はアルコールと煙草のむせかえるような臭いで充満していた
「ちょっと何ぃ~誰よあんた達ー」
鋭い目つきでこちらを睨みながら一人の女が声をあげた
うっ…お酒臭い…
何やら袋を手にしていて、どこか虚ろな目をしながら何がそんなに面白いのか、いきなり笑い出す無精髭
「兄貴…」
恭介が神妙な面持ちでアキラに呼びかけた
アキラはこちらを見ておらず、恭介の声にゆっくりと振り返った
「何……っ!!」
その表情はみるみるうちに驚いた顔になって由梨に視線を集中させる
アキラ……
目があっただけで何かのスイッチが入った様に、ドキドキと音を立てる心臓
「話がある。」
恭介は驚きの余り固まるアキラに、よく通る声でそう言いそのままスタスタと元来た道を行ってしまう
『あっ…待って…』
急いで後を追おうとしたが、いつの間にか隣に
先ほどまでゲラゲラと笑っていた無精髭が立っていて行く手を阻まれてしまう
「あれぇ~?お前なんか見たことある顔だなぁ~」
『ひっ…!!』
思わずあの恐怖が鮮明に頭に蘇り、足がすくんで動けない
ガチガチと歯は音を立てて震えだし、背中に冷たいものを感じた
「お前もこれやれよ」
無精髭がうまく呂律が回っていない喋り方で
手に持った袋を差し出してくる