君に恋した冬
第19章 過去
医者の話では、忘れ去りたい記憶を
意図的に消してるって事らしくて
ストレス性のものだって言ってた
無理やり思い出させる様な事は絶対にしてはいけないって言われて…
お前が持ってる小さい時の記憶は
全部お前の祖父母が作った記憶だ
お前の祖父母に、二度と目の前に現れるなと言われたけど
やっぱりどうしても償いたくて…でもどうする事も出来なくて
毎月お金を送る事に決めたんだ
お前の家に届いてたお金は
全部俺の両親からの物だ
そんなはした金は要らないと何度も祖父母に突き返されたけど
これしか出来ることが思いつかなくて…
それから俺の家族も全員ギクシャクしだして…
変な噂は近所にあっという間に広まって
俺と恭はあの家に引っ越す事にしたんだ。
両親は、自営業だったから実家を離れられなかった
俺はその頃から全てがどうでも良くなりはじめて
由梨を忘れた日なんて一度も無かった
だから…もう誰でもいいから俺を殺してくれって…
自分で死ぬことさえ出来なくて…
毎日毎日女を連れて、警察にも何度も厄介になって…
そんな俺に嫌気がさした恭も、俺から離れて行った
それでいいって思ってた
恭には幸せになって欲しかったから
そんな時だったんだ。
あの日、お前に出会ったのは…。