君に恋した冬
第19章 過去
最初は全然気付かなくて
ただ地味な女だなとしか思ってなかった
いつも通りの流れであのCLUBに連れて行って
犯して捨てる気だった…最低だけど…
それで誰かが俺を恨んで殺せばいいと思ってた…
でも、犯してる最中に、背中の痣に気付いたんだ
ガキの頃、よくお前と一緒に風呂に入ってたから知ってたんだ
お前の背中に三日月みたいな形の痣があること。
偶然じゃないかって思ったけど…形も色も場所も
全部同じだった
それから顔をよく見たら由梨だって気付いた
でも気付いた時にはもう遅くて…
どうしていいかわからなくなって体が動かなかった
でも、今このまま手離してしまうと
もう二度と会えないんじゃないかって思って…
気付いたら家まで連れて帰ってた
お前はずっと泣きながら男の名前を呼んでて…
やっぱり俺は、お前を不幸にすることしか出来ないんだって思ったら悔しくて…
また、自分の欲だけでお前を俺に縛りつけてしまった…