君に恋した冬
第22章 君に恋した冬
そして日々は着々と過ぎていき
結婚式当日を迎えた
親族だけでひっそりと執り行う事にしていたため
参列者はアキラの両親と恭介と勇希だけ。
控え室でウェディングドレスに身を包み
綺麗にメイクされた顔とヘアスタイルを
全身鏡で椅子に腰掛けながらまじまじと凝視する
なんだか…自分じゃないみたい…
勇希もベビー用のタキシードを着せてもらい
元気に控え室を駆け回ってあちこち不思議そうに眺めている
カチャ…と扉が開いてアキラの両親が顔を出した
「まぁ…!由梨ちゃん綺麗…!」
おばさんはあれから少しだけ体調を持ち直しており
今日だけ外出許可を得て、車椅子で来てくれていた
「見違える様だよ…あんなにちっちゃかった由梨ちゃんが…」
おじさんも感慨深くそう呟く
由梨は思わず恥ずかしくなって頬を少し赤らめて小さくお礼をした
『ありがとうございます…』
そのままそっと立ち上がっておばさんに寄り添った
『無理させて…ごめんなさい。体調は大丈夫ですか?』
「ふふ…こんな姿を見られただけで
今日まで生きてこれて良かったって心の底から思うわ…」
おばさんは目を細めて由梨の肩にそっと手を添えた
「本当に…ありがとう。由梨ちゃん…」
『おばさん…』
「あらやだ。もうあなたのお義母さんなんだから、そう呼んでちょうだい」
『あ……』
義理だけれど、母が出来たということに
胸の中がくすぐられる気分になる
『お義母さん…』
ふふっとお互いに少し微笑んで
控え室には温かい空気が流れていた
そこにコンコンとノックが聞こえて、式場の係員が由梨達を呼びに来た
「そろそろお願い致します」
その言葉に由梨達はゆっくりとその控え室を後にした