君に恋した冬
第22章 君に恋した冬
式場の大きな入り口の扉の前で
グレーのタキシードに身を包んだ恭介が待っていた
ゆっくりとこちらに向き直って
恭介は眩しそうに目を細めた
「へぇ…意外と綺麗じゃん」
『意外は余計よ』
ふふっと笑って恭介の腕にそっと手を添えた
恭介も…すごくカッコいいよ…
こんな人に好意を持たれていただなんて…
今でも信じられないな…
恭介はあれから新しく彼女が出来たみたいで
今はその彼女と順調なんだそうだ
由梨に父親が居ないため
最初のバージンロードを歩く相手は恭介にお願いした
「じゃ、行くぞ」
『うん…!』
大きい扉が係員によって開かれ
パイプオルガンの心地よい音色が式場に鳴り響く
そしてその赤い道に一歩足を踏み入れた
真ん中で待つアキラの姿は逆光でうまく見えない
ゆっくりと一歩一歩
恭介にエスコートされながら進む
パチパチと小さな拍手がアキラの両親から贈られ
勇気のキャッキャとはしゃぐ声が聞こえる
晄…
だんだんと近付くにつれ
アキラのシルエットがハッキリと鮮明に見えてくる
ドキン…ドキン…
胸が高鳴ってどうしようもなかった