テキストサイズ

さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第1章 SideⅠ(光樹(みつき))~あたし、明日、死ぬんだ~

 サンライズデパートは七階が屋上になる。
 光樹は息を切らして最後の数段を駆け上った。もどかしい想いで屋上へと続く鉄扉に手を掛けると、扉は軋む耳障りな音を立てながら向こうから開いた。誰かがきちんと閉め切っていなかったのかもしれない。
 現実にはちゃんと閉められていなかったのと風のせいだったのだろうが、光樹にはそれがまるで運命の導き―誰かの見えない手が向こうから重たい鉄の扉を開けたようにも思えた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ