貴方の気持ちが、分からない。
第2章 事故。
ガラガラ。
ドアを開ける手に微かな痛みを覚えながら、保健室のドアを開ける。
「失礼します。」
回転する椅子がくるっと回り、
白衣をヒラッと掠めた。
「…怪我、どうだった?」
「そんな暗い顔しないでください。
死ぬほど重傷じゃないですから。」
「痛くない?」
「…痛いですけど、大丈夫です。」
定位置に座って、いつも通り、音楽を聞こうとすると、センセイが隣に来た。
「仕事、いいんですか?」
「ん。…顔、ごめんね?」
なんて、ガーゼの上から頬を撫でる手が優し過ぎて、
「なんで、センセイが謝るんですか…」
勘違いしてしまいそう。
「守ってやれなかった…。」
伏せ目がちに言う、そのしぐさが、
不覚にも、かっこいいと思った。
「私より、悲しい顔しないでください。」
私は、そんなに悲しくない。
傷なんていつかは消えるでしょ?
「日和、強いね。」
なんて、笑いかけて。
でも、この恋はきっと、消えない。
「私は、弱いですよ…。」