貴方の気持ちが、分からない。
第1章 始まりは、ここから。
昼休み。
保健室の中で、一番ベランダに近い椅子に座って、
耳にはイヤホンして、
寝るのが好き。
「また寝てる(笑)」
「…っ、、寝顔…見ないで。」
「ここ、俺の仕事場ですけど。」
「…眠い。」
そう言いながら目を開けて、片耳だけイヤホンを外す。
少し起き上がったせいで、いつの間にか掛かってた毛布が、音もなく落ちた。
「…あ。掛けてくれた系?」
「こんなとこで寝たら、100%風邪ひくし、」
「感謝します。」
毛布を拾って畳むと、
…イヤホンを取られた。
「返してください。」
「なに聞いてんのか知りたい(笑)」
と言うと、イヤホンを付けた。
「…こんなの聞いて、よく寝れるね。」
「少しうるさい方が、他の声が聞こえないから良い。」
「耳悪くしないようにね?」
と言うと、私にイヤホンと、音楽機械を返した。
「松本センセイは、もっと女の子っぽい子が好きですか?」
「…別に、そういうのはあんまり関係無いよ。
ってか、日和女の子っぽいよ?」
「…ありがとうございます。」
「いえいえ(笑)」
コンコンッ、
ガラガラ。
「失礼します。」
日本には咲かないような花の香水がする。
「あ、美樹先生。」
「少し、いいですか?」
私と目が合っているのは、
私に、“出てって。”
と、訴えているから。
顔を少し紅くしてるのは、……
「じゃ、私、教室戻ります。」
さっきまで好きだった空間は、いつの間にか失せて、
私の一番苦手な空間に変わった。