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Sincerely

第3章 夢見る少女が消えた日。前編

でも今度はそれで止まらなかった。
ヒロヤの唇はわたしの唇から耳に進んで、優しく吐息を吹きかける。
「ひゃっ…」
小さく悲鳴を上げた。でもそんなわたしにおかまいなしで、吐息だけじゃなくて舌が触れて…耳たぶを甘噛みされた。

これから何が起こるのか、多分もう身体も心も分かっている。
拒む事もできるって事も。
でも今まで知らなかった事を知る怖さと好奇心でわたしの中が満たされていくのを感じていた。

耳から頬へ、頬から首筋へ。
ヒロヤの唇がわたしの身体のあちこちに小さな熱を増やしていく。
この熱がどんどん大きくなった時、わたしはどうなってしまうんだろう。

怖いと思う半面、先に進みたい気持ちの方がその時のわたしは強かったんだ―――。

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