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Sincerely

第3章 夢見る少女が消えた日。前編

もう術後の膝の事とか、
彼氏の事とか、
どうでも良くなっていた。

痛みに内側から溢れる熱が勝り、ヒロヤがゆっくり動き始めると、わたしは快感を追う事だけに集中してしまった。

今まで知ってた気持ちいいが幼い快感ならば、
今この瞬間の快感は、大人だから知りうる快感―――…

頭の中が真っ白になって、
今まであった何もかもに微笑みかけたいくらいに幸せな気持ちになれたんだ…



全ての熱がひいた時。
「ユミコちゃん…初めて、だったの?」
少し驚いたようなヒロヤの声が降ってきた。
コクリ、小さく肯いたわたしをヒロヤは黙って抱きしめた。
「彼氏に悪い事しちゃったな」
と、つぶやいて。

悪いなんて思わないで。
わたしも望んだ事だったから。
彼氏には言えない秘密、わたしひとりで持っておくって決めてヒロヤに抱かれたんだから。

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