Sincerely
第6章 そして、わたしは嘘をつく。
嘘をつく時、全てが嘘だと荒唐無稽な印象を持たれかねない。だからわたしは、本当の事も織りこむつもりでいた。
「春先に足のケガで入院したんですが、その時に。同じ病棟にいらっしゃって、良くしてもらいました」
「そうなの…。私あまりお見舞いに行かなかったから、お目にかかった事はなかったわね」
「わたしもそんなに長く入院せずに済んだので…」
「退院した後も何度か会ってたみたいね?」
───来た!
「外出先でたまたま会ったので、彼氏の事とか相談させてもらってました。わたし一人っ子だし、男友達もいないので…」
「じゃあユミコさんは、ヒロヤさんを私から盗ろうとか…考えてる訳じゃないのね?」
───怖い。
年上の大人の女性の嫉妬が。
でも、わたしは。
例え嘘をついても、この人をこれ以上傷つけないようにしなきゃいけないんだ。
「春先に足のケガで入院したんですが、その時に。同じ病棟にいらっしゃって、良くしてもらいました」
「そうなの…。私あまりお見舞いに行かなかったから、お目にかかった事はなかったわね」
「わたしもそんなに長く入院せずに済んだので…」
「退院した後も何度か会ってたみたいね?」
───来た!
「外出先でたまたま会ったので、彼氏の事とか相談させてもらってました。わたし一人っ子だし、男友達もいないので…」
「じゃあユミコさんは、ヒロヤさんを私から盗ろうとか…考えてる訳じゃないのね?」
───怖い。
年上の大人の女性の嫉妬が。
でも、わたしは。
例え嘘をついても、この人をこれ以上傷つけないようにしなきゃいけないんだ。