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Sincerely

第7章 8月の長い夜

そして、明けて今日。
わたしは、彼氏に会う。

どれくらいぶりだろう、顔を見るのは、声を聞くのは。
触れあったのなんて、もう相当昔の出来事のような気すらする。


でも何より怖いのは。
直接会う事で、わたしの変化を見抜かれてしまうかもしれない事───

それでも、会うと決めたのは……わたしだ。



待ち合わせまで、あと20分。
残暑の漂う公園の四阿(あずまや)に腰かけて、周りを見やる。

彼氏を待ちながら、わたしは悶々と考えていた。


わたしの変化に気づかれたら───本当の事を話そう。
ヒロヤの事、ふたりの間の出来事、わたしの気持ち。

間違いなく彼氏を傷つける。
でも黙っててだまし続けて、その結果気づかれた時の傷の深さを思うと、少しでもダメージは少なくしたいと思うわたしがいた。



きっとわたし。
ズルくてヤな女だ………

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